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たっぴーのシールぴた~

ポケモンのことやTCGのことなどを書いていきます。~対戦ゲームで勝つために~執筆開始。

【ポケモン】対戦競技化に向けた競技プレイヤーとしての視点と改善案

1 序論

 近年、e-Sportsという言葉を度々聞くようになった。
これはエレクトロニック・スポーツの略[1]で、コンピュータゲーム(ビデオゲーム)をスポーツ・競技として捉える際の名称である。
 本論文では、コンピュータゲームの中でも、「ポケットモンスターシリーズ」のユーザー同士の通信対戦(以下「対戦」)を取り上げる。ここでは、対戦を競技化させることを目指し、そのために現状の問題点、対戦に力を入れることによるメリットとデメリット、今後に向けて取り組むべきと判断されることを、それぞれ取り上げていく。


2 本論

 これまでに任天堂株式会社ポケモンでは、ポケットモンスター関連の事業で、キャラクターグッズの展開などライトユーザー層の獲得を重点的に置いている。
ポケモンブランドは世間の認知を獲得し、ポケモンにおける強みの一つとなった。
それ以外にもポケモンは競技的な面でも取り組んでおり、その代表的なものとして、世界規模で開催される公式大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス」(以下「WCS」)がある。
キャラクターグッズの展開などはポケモンファンの中でもライトユーザー向けとなるが、反面、競技的な部分に関してはヘビーユーザー向けとなる。
ライトユーザーはこれまでに行ってきているキャラクターグッズなどの販売で十分に獲得出来ており、今後も継続していけると予想できる。
しかし、ポケモンユーザーの中には競技的に取り組むヘビーユーザーも決して少なくはない。
そのアプローチとして、公式でも「Wi-Fi」を用いたオンライン対戦を開催している。
最近では公式からの対戦面に関する取り組みを感じられるようになってきたものの、競技的な面では他の対戦ゲームに比べると取り組んでいる競技人口の割に盛り上がりが足りないように感じられ、最近ではユーザーが離れていくのも耳にするようになった。
そこで、今後はヘビーユーザーに向けた取り組みに重点を置いてもいいのではないかと考え、そのためにするべきことや問題点を取り上げていく。


2-1 ポケモン対戦

 まず、ポケモン対戦のルールについて確認をする。
ポケモンの対戦では、公式が毎年設定するルールに応じて使用できるポケモンが変更される。
公式大会ルールは「ダブルバトル」と呼ばれるルールで、お互い対戦フィールドにポケモンを2体ずつ出し合って戦うルールで行われる。

ユーザーはレギュレーションに沿ったポケモンを6匹選び、自分のチーム(以下「構築」)を作って戦い、対戦では自分で選んだ6匹のうち、4匹を選抜して対戦に出す。
f:id:tapiokatappy:20161130135924p:plain

図 - 1 ポケモンルール別人口 [2]

グラフは、ポケモンレーティングシステムを利用したオンライン対戦の人口の推移。
グラフ下のXY・ORASは、ポケモンのシリーズを表す。Sはシーズンの略を表し、シーズンは約3ヶ月ごとに移り変わっている。
グラフを見てわかるように、公式ルールである一度に2体のポケモンを使用して戦うダブルバトルよりも、一度に1体のポケモンを使用して戦うシングルバトルをするユーザーのほうが、人口が収束してきたS16段階でも3倍近く多い。
シングルバトルをするユーザーが多いのは、ポケモンはストーリーでよく対戦するルールがシングルバトルなため「とっつきやすいから」という理由が多いようだ。
データから、公式ルールをダブルバトルに設定するのであれば、公式側からのアプローチによって、ダブルバトルに取り組む機会を増やすべきだということがわかる。例えば、ストーリーやゲーム内のイベントでダブルバトルの戦略や魅力を伝えたり、対戦に関する施設ではCPUのセリフに公式大会に関わることを話させる、などのアプローチが良いだろう。

XYシリーズからORASシリーズに切り替わった直後に人が爆発的に増えていないのは、対戦ではなく、ポケモンのストーリーを楽しんでいるユーザーが多いためである。対戦を嗜むユーザーも、ポケモンの「厳選」などに時間がかかるためにS7の段階ではオンライン対戦のプレイ人口はそこまで多くなく、反面、準備が整ったS8からは人口が一気に増えている。XYシリーズのS1の人口よりもS2の人口が多い点も同じ理由だと思われる。

 ここで、ORASシリーズの発売によって一時は対戦ユーザー数の回復を見せたが、XYシリーズほどの盛り上がりは見せていない点に注目する。
XYシリーズが多かった理由、ORASシリーズでの人口がXYシリーズに人口が追いつかない理由として、2つ挙げられる。
 1つ目は、単に「気分でオンライン対戦をしてみよう」と思うユーザーが購入後XYシリーズに多かったという点。
使用するポケモンが揃っていなくても、試しにやってみようと思い1戦だけ行った場合でもこの集計結果にはカウントされる。理由は集計をレーティングのランキングごとに区切っているため、1戦でも対戦を行った場合はランキングに集計されるためである。
 2つ目は、ORASシリーズからは「カロスマーク付きのポケモンのみ大会に参加できる」という制限が新たに設けられたため、対応できなくなったユーザーや面倒だと感じたユーザーが離れたと思われる。
ポケモン」シリーズはポケモンを旧作のソフトから新作のソフトに送れることが魅力の1つであるが、旧作限定で使用できる「ワザ」がある。しかし旧作から連れてきたポケモンにはカロスマークはなく、3DSのソフトで捕まえる、またはタマゴを孵すことで手に入るポケモンにのみ付いている。
これをマークにより制限することで、対戦のルールをわかりやすくするための環境整備や、旧作を使用しなくてもポケモンが入手出来ることで新規ユーザーが入りやすくする取り組みだと分かる。
しかしこのシステムが導入された結果、旧作で手に入れたポケモンを使用していたユーザーはポケモンを新たに作り直さなければいけなくなり、ポケモンを新たに準備する手間が面倒と感じて対戦から離れたユーザーは少なくない。


2-2 競技化のメリットと問題

 次に、ポケモンが対戦に力を入れることによるメリットを提示する。
ポケモンの競技的な面に力を入れることで、対戦の人気が出る
→新規参入者がソフトを購入する
→ソフトが売れた収益分を運営費や開発費に回せる
→運営費や開発費が集まり競技的な面で質が良くなると、スポンサーが目をつける
→スポンサー主催の大会が開催され、大会が盛り上がる
→大会が盛り上がるとソフトが売れる

順当に進めば、このようなスパイラル状態に入ることが可能である。
しかし、ポケモンポケモンに限らず多くのゲームにおいて、最初の段階からなかなか脱却できずにいると感じている。
その理由は、対戦環境の整備や開発にかける費用と、対戦を意識したユーザーが参入することによる売り上げが釣り合っていない、もしくは即時的に対費用効果を得られないからだ。
そもそも、ポケモンの売り上げは主にソフトだけで、TCGなどのように継続的な収入が対戦から得られることは少ないのもあるが、それ以外の点に着目し実行するに至らないのは、日本における世間のゲームに対しての風潮が大きく、同じポケモンというゲームでも対戦の環境や認識が異なることが多い。


2-3 日本と海外の大会形式

大会の形式は日本と海外では異なっている。
海外では「CP制」という制度が取り入れられており、地区大会に参加するごとにポイントがたまり、上位に入るとより多くのCPが獲得できる。これが一定数以上あるとその年に行われるWCSへの出場権利が手に入る。
大会は地方大会である「City Championships」、地区大会である「Regional Championships」、全国大会である「National Championships」に分かれている。また、各大会の上位者は次の大会に進むことができ、全国大会である「National Championships」で上位の成績を収めたプレイヤーは所持CPに関わらず世界大会の権利を獲得できる。
一方日本では、「ジャパンチャンピオンシップス」という大会が毎年ゴールデンウィークにオンラインにて開催され、そのランキング上位のプレイヤーが全国大会に出場、また世界大会の権利を手に入れることができる。全国大会で上位のプレイヤーは世界大会でもDay2と呼ばれるシード枠として参加できる他、大会に参加するにおいてホテルと旅費(Travel Award)を獲得できる。

また、海外の大会と世界大会は2本先取で行われるが、日本では基本的に1本先取で行われる。ポケモンは、まずこのルールの統率を取るところから始めるべきだ。
これは、1本先取で通じる戦術と2本先取で通じる戦術は大きく違うからだ。1本先取ではバレなければ強い「初見殺し」と呼ばれる戦術が可能で、多少バランスが取れていなくてもそれだけで勝てる場合がある。2本先取では、1戦目に相手の情報を入手し、2戦目以降から対応するということが可能であるため、1本先取に比べて「初見殺し」を取り入れることはリスクに繋がる。
もちろん、格闘ゲームやカードゲーム、スポーツなどの他の競技にも多く言えることだが、ポケモンの習得している「ワザ」や「ステータス」が判明される影響が非常に大きい。
日本のプレイヤーは公式のルールでは2本先取に馴染みがなく、世界大会となった時に2本先取用のチームを作ることを必要とされるため、競技的な面を見ると公平ではない。
しかも、今年の全国大会では、大会2週間前に届いた書類で「予選は1本先取、決勝トーナメントは2本先取」という通知が来たのだ。
これには私を含め、多くのユーザーが遺憾の念を抱いた。なぜなら、1本先取と2本先取で通じる戦術は異なる上、予選と決勝トーナメントで使用するポケモンの変更は不可能だからだ。
従来までの日本の大会は1本先取であることが多かったため、多くのユーザーは1本先取を想定していた。実際に、1本先取で強力な「初見殺し」を取り入れたチームを使ったプレイヤーは予選を抜けたが、決勝トーナメント1回戦で敗北している。
決勝トーナメントに出場すると「Day2」の権利が獲得できるのだが、この突然の変更は『「Day2」の権利を獲得したプレイヤーであれば世界大会に出場するだろうから、そのために2本先取ですることにしたよ』と言わんばかりである。
それでも予選が1本先取なのは、会場の時間の都合だと推測している。
私が去年の世界大会に参加し、株式会社ポケモンの方とお話しさせて頂く機会があった。そこで何人かの日本人選手と一緒に意見交換をしたのだが、公式大会を2本先取にして欲しい、という旨を伝えたところ、「会場の時間と、費用面で厳しい」という回答を頂いた。
また夜遅くなると、ジュニアリーグのお子さんの負担にもなるという回答を頂いた。
それであれば大会を2日に分ければいいのでは、と思ったが、やはり費用面がネックであるようだった。

それでも無料で行い大規模でやっているのであるから、その代表を決める大会ぐらいはもう少し丁寧にやってもいいのではないか。
実際の大会は毎年代表の選出方法が変わっているのを感じ、試行錯誤はしているだろうとは思っているものの、長年くすぶっているように思え、ユーザーが離れていると感じる節もあるので早急な対処が求められると考える。今年に発売する新作ソフトを機に変わることを願っている。
ユーザー側の取り組みに対して、「コンテンツを盛り上げてほしい」とのお話もあり、株式会社ポケモンの方には、非公式全国大会の「バトルロードグロリア」への取り組みや、その場にいた有名プレイヤーの個人のブログに至るまで認知していて、ユーザーの動向を確認しているだけではなく期待も抱いているようであった。

ダブルバトルの対戦動画は少ないので、動画投稿などでも盛り上げていきたい」というユーザー側の話もあったが、そもそもゲームの対戦動画の投稿は動画でソフトを楽しめてしまうとソフトが売れなくなるから」という理由で投稿は許可していないという話が挙がった。実際に動画によって人気が出て売れるケースも多く、企業側の多くが見て見ぬふりをしている現状である。ここの認識やルールも打破できると、ルールにこじつけた厄介な批判をするユーザーなども減り、対戦面の環境もより良くなるのではないか、と考えている。


2-4 法律と賞金と大会

日本の法律で、刑法185条に「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」と定められている。
ここでいうところの「賭博」とは、偶然の勝敗に関して財物を賭けてその得喪を争うことをいいます。
「偶然の勝敗」
とはそのままの意味で、勝敗に少しでも運が絡んでくる余地があれば、これにあたると思っていただいて構いません。
ゲーム大会は、プレイヤーの技量だけでなく、運によって勝敗が左右されますから、
「偶然の勝敗」に関するものということになります。[3]
このようにゲームも賭博の一部に含まれており、大会の参加費から賞金や商品を提供することは、法律で禁止されている。
この刑法が日本のe-sportsへの取り組み全体への障害になっている。その理由は、e-sportsを目指すうえで根本となる部分の、ユーザーがコンテンツを好きになり、盛り上げるという行為、その中でも特に集客効果が高い大会に対しての、事実上の規制となっているからだ。

これについての改善案は法律を改正することだが、これをするためにはe-sportsに取り組むゲーム業界が一団となって申請する他ないのだ。
しかし、現状のゲームに対する日本人の認識は「遊び」というジャンルを出ず、報道や記事でもゲームを原因として悪いイメージを持たせようとする記事を目にすることは少なくないため、これも難しいとされる。

具体的には、『「Pokemon GO」による歩きスマホの事故が増えた』という事案である。
もちろん、スマートフォンで「Pokemon GO」起動して道を歩くので事故のリスクは高まっているが、ポケモンを捕まえる際や、ポケストップと呼ばれるアイテムを回収できる施設は急がなくても可能であり、歩きながらする必要はない。
ゲーム内でも「歩きスマホに注意」という警告が出ていて、ゲームの仕様でも歩きスマホをし続ける必要はなく、事故の原因はユーザーが気をつけていれば防げるものが多い。
事故に遭った人たちは「Pokemon GO」をやっていなくても、無用心に「歩きスマホ」をしているユーザーであると思われるのに、報道ではユーザーのモラルについて述べられる前に『「Pokemon GO」が原因で』、と報じられることが非常に多い。ほんの一例だが、このようなことからも世間のゲームに対する目は厳しいと認識している。

「財物…の得喪を争う」とは、勝者が財産を得る反面、敗者が財産を失う関係にあることをいいます。この関係をもう少し分かりやすくいえば、勝者の獲得する賞金が、敗者の財布から出ているというイメージです。したがって、勝者に賞金が与えられる勝負であっても、敗者に何ら財産を失うリスクがない場合には、「財物…の得喪を争う」ことにはなりません。[3]
このような記述の通り、参加者からお金を募って賞金や商品を出すことは禁止だが、スポンサーから提供されるものであれば可能である。スポーツでもテレビ番組でも、コンテンツや配信の質を上げるためにはスポンサーの存在は欠かせない。メディアに頻繁に出るようになる日はまだ遠いが、注目はされ始めてきているので、今後の活動が期待される。


2-5 対戦準備と風潮

また、現状のポケモンでは「対戦するまでの準備」、及び「ユーザー間で根付いている風潮」が問題視されている。
1つ目の問題点は、大会で使用するポケモンを選定する際に多大な時間がかかることが挙げられる。
ポケモンは各種ステータスが設定されており、ステータスに「HP」「こうげき」「ぼうぎょ」「とくこう」「とくぼう」「すばやさ」の6種類がある。これに、入手する際にそれぞれのポケモンにランダムで振られる裏ステータスが設定されている(ユーザー間では「個体値」と呼ぶ、以下「個体値」)。
これらは元より本来の生物のように、それぞれのステータスが違うというランダム性を楽しむものであって、対戦面を重点化させる場合にはネックになりやすい。
6種類の「個体値」にはそれぞれ0から31までの32段階の値が設定されており、単純に言うと数値が高いほうがより強いポケモン、ということになる。

このランダム性がある中で、対戦ユーザーはより強いポケモンを入手するために長い時間をかけて多くのポケモンを入手し、ステータスの良いポケモンを選りすぐる作業を行う(以下「厳選」)。
本来想定されるポケモン対戦は、ポケモンの各種ステータスや覚えるワザを想定して、そのために戦略を練って戦うゲームなのに、その準備に多大な時間を取られるために対戦をする時間が削がれてしまう。この手間を煩わしいと感じるユーザーが離れても、何ら不思議なことではないのだ。
私の回りでは、友人内でそれぞれ違うポケモンを「厳選」し、必要な時にオンライン上でポケモンを交換しシェアすることで、対戦までに多大な時間がかかる「厳選」の時間短縮を目論んでいるが、これにも限界があるだろう。事前に使いたいポケモンを準備しておいたとしても、大会が近くなって、事前に準備していなかったポケモンに変更したい、と思っても間に合わないことが多い。

2つ目の問題点は、オンライン大会に参加した場合にのみ手に入る、限定の「ワザ」を覚えたポケモンが存在する点が挙げられる。
毎年変わる公式ルールでも使用されることがあり、実際にWCS2013では「ポケモンレンジャー 光の軌跡」の期間限定配信で入手できる、「ふんか」を覚えたヒードランが日本の全国大会で1位、世界大会で2位に、WCS2014では日本のポケモンセンター限定配布の「れいとうパンチ」を覚えたバンギラスが世界大会で2位に、WCS2016ではオンライン大会限定配布の「がむしゃら」を覚えたライチュウが世界大会で優勝を含め複数入賞している。これらのポケモンは入手ルートが難しいだけではなく、より良いステータスで入手するためには他のポケモンよりも多大な時間が必要とされている。
またWCS2014で入賞した「れいとうパンチ」を覚えたバンギラスを使用したユーザーは日本限定配布にも関わらず、使用していたのは海外のプレイヤーであった。

中には国によって入手が困難なポケモンも存在しており、しかもこれらのワザを覚えたポケモンが大会で入賞している点を見ると、対戦をするための環境は良いものではないと思えるだろう。

また、使えるポケモンの入手難易度のせいで、対戦ゲームにおける駆け引き要素の1つ
以下「メタゲーム」)にも重大な欠陥を抱えている。
限定入手のポケモンが使用される影響は、限定入手のポケモンを考慮した戦略を立てるかどうかにも影響し、限定配布のポケモンへの対策を取り入れることで、他に考えていた作戦を諦めないといけないかどうかの検討も必要になる。

限定配布のポケモンだから大会ルールにおいて存在しないと考えているプレイヤーも居れば、限定でも強力なので考える必要があると考えるプレイヤーも居る。
これによる影響は、他のプレイヤーが「構築を組む際に、限定ポケモンへの対策をどれだけ想定しているか」をこちら側が想定することが難しくなる。

例として、自分は限定配信のポケモン「A」を意識して対策を施した「構築X」を作っていたのに、他のプレイヤーの「構築Y」は「A」の対策をしていなかった「構築Y」を使用していた。
大会で、「構築X」と「構築Y」が対戦することになった。
自分は「A」の対策をしていたので「構築X」は最大限の動きができなくなっていたが、一方、「構築Y」は「A」の対策を施しておらず、「A」以外に有利になれるように構築されていた。
結果、「構築Y」の方が有利で、その対戦は「構築Y」が勝利した。

この結果を見た時、この試合は果たして公平な試合になっていたのだろうか。

当然、このような個人の「メタゲーム」の考え方のズレは度々あり、事前の考え方の違いによって勝敗が変わることも少なくない。
しかし、そもそも存在するかどうかが不確定な中で、その対策をするべきなのかどうかとなると話は違う。
しかも実際に大会で結果を出していて、環境へ多大な影響を及ぼしているのに、尚それを無視できるのかと言われると否だ。
限定配信のポケモンはメタゲームにおいて余計なノイズが入るため、対戦環境としては非常に良くない存在となる。

話は変わるが、同じ対戦ゲームであるところで別ジャンルの「カードゲーム」においては、高価なカードに対し、それを使用しているかどうかについても思考にノイズが入る可能性がある。特にMagic: The Gatheringというカードゲームの「ヴィンテージ」というルールでは、10年以上前に発売されたカードも使用可能で、その中でも特に希少価値が高いカードには高値が設定されている。しかしこのルールに取り組むプレイヤーは少数であって、カードが非常に高価なため取り組むユーザーも多くお金を持ち合わせることもあり、ポケモンほどの問題視はされてはいないだろう。
多くの金銭がかからずに対戦が可能なポケモンにおいては、金銭の代わりに時間がかかることがネックだが、ルール整備により他のカードゲームのメタゲームで想定できる問題要素よりも払拭しやすい存在であるので、改善できるのにしないのは勿体ないと感じる。


2-6 ユーザー間で根付いている風潮

対戦面を意識するにおいて、まず初期段階である対戦用のポケモンの準備について、頻繁に話し合いになることが多い。
具体的には「乱数」と「改造」と呼ばれる2つについてである。
まずは「乱数」についてだが、これはゲーム内で設定されている乱数を利用し、任意の時間に任意のステータスを持ったポケモンが出現することを解析して実行する「擬似乱数調整」と呼ばれる技術の略称として使われている。
公式の大会ルールでは「ゲーム内で正規の方法で入手したポケモンのみが使用可能」になっており、外部ツールの使用で不正に生成したポケモンではないが、ツールを用いてステータスの高いポケモンを作り出しているとも思われ、賛否両論である。
昔は批判されていたものの、ORASシリーズ以降の大会は最新のソフト内で手に入れたポケモンしか使用出来なくなった。また、「乱数」は過去作品のソフトを使用するため、直接対戦に参加させることはできなくなったからかそこまで表立っての批判は少なくなった。

実際には「乱数」を批判しているユーザーの中にも「乱数」の恩恵には今でもお世話になっている光景をよく見る。また、「乱数」を利用しているユーザーの中にも、「乱数」を利用しないユーザーについての言及や、グレーラインの「乱数」を表立って肯定する発言があり、これに噛みつく、といった流れが後を絶たない。このようなエゴのぶつかり合いが度々発生している。
この時点でプレイヤーの民度という点でも厳しく、改善へ向かうのは難しいと感じている。

私は対戦メインで考えているユーザーであって、準備期間を短縮できる「乱数」については寛容ではあるが、公式の見解を考えるとグレーであるため、この案件については煽り立てるような肯定はしないつもりである。
しかし、一方「改造」については厳しい風潮があり、仮に私が「改造」に対して寛容であったとしてもなかなか表立って発言できるものではなく、これらはユーザー間でタブーとなっている。

「改造」とは、外部ツールを用いて不正にポケモン、及びアイテムを生み出すことを指している。例として、サイバーガジェット社の「セーブエディター」を用いた生成などが挙げられる。
これは大会規約に違反することからも完全なブラックで、過去に規約違反を行ったユーザーが、インターネット大会のランキングから除外されている例をよく耳にする。
「改造」を使おうと思ったユーザーの中には、「乱数」で直接対戦向けのポケモンを生成出来なくなった影響も大きいとされている。
「改造」の風潮は非常に厳しく、動画配信サイトでPCの画面に改造ツールが映った際、正規の方法では入手出来ないポケモンが映った際などには、そのユーザーは強く批判され、時には二度とポケモンをしなくなるユーザーも多い。それほどの批判が起きる現状である。
またポケモンは通信交換が可能なため、改造ツールを使用しているユーザーの言い逃れとして「友達から貰った」と言うことが多いが、証明する手段がないため通じないことも多く、逆に、知らずに改造ツールを使用したポケモンを入手してしまった場合の言い逃れにも使えなくなるため、ユーザー間でも特に扱いが厳重となっている。
正規の方法で入手したポケモンだからと言い、ポケモンの金銭取引も行われた結果、改造ツールで入手したポケモンだと判断されたこともあった。
渡したユーザー、受けとったユーザーどちらとも批判され、依然、そのユーザーについた「改造ツールを使用している」イメージは払拭されることはない。

だが、対戦ゲームとしてポケモンを発展させていく以上は、このユーザーの風潮を取り払わなければ、対戦前の段階で揉めている以上は、対戦競技面での進展は満足に起こり得ない。


2-7 公式側の見解と問題点

対戦で使用するポケモンに関する問題は、結局のところ、公式側が払拭するところから始まるのである。
改善案としては
ポケモンのステータスを自由にポケモン変更出来るようにする
・限定配布のポケモンを使用不可能にする、もしくは、限定配布ワザを自由に覚えさせることができる
・限定配布のポケモンは、国ごとに入手難易度を変えない

ステータスの変更については、つい最近、公式側から、「きんのおうかん」「ぎんのおうかん」というアイテムが発表されており、「きんのおうかん」は全ての「個体値」を31に変更、「ぎんのおうかん」は1つの「個体値」を31に変更する効果を持つアイテムで、使用は1つにつき1回となっている。
これにより改善に向かうと思ったものの、これらは入手難易度が高く「きんのおうかん」に関して言えば、攻略本の上下を3000円で購入し、それに1つ付属するというものであった。

当然ないよりはあったほうがいい、というものではあるが、かかる金額面やコストパフォーマンスなども考えると、現状の問題点が見えてない証であると思う。
公式側の見解としては対戦要素に対しての認識はあるとの判断はできたものの、これらを少しずつ改善に向かわせることで利益を得ていこう、ユーザー満足度を上げていこうというものであると思うが、その進展速度が新作のソフトが出るたび少しずつ、ではたまったものではない。

また、「個体値」は高ければ高いというものではなく、敢えて31以下にするメリットもある。
代表的なものでは「めざめるパワー」のタイプの変化、「すばやさ」の数値調整、「個体値」を下げて敢えて倒されるようにする調整などがある。

1つ目の「めざめるパワー」に関しては、「個体値」によりタイプが変わる仕様となっている。
ポケモンにはそれぞれ固有の「タイプ」があり、「タイプ」による弱点を突いた戦術に「めざめるパワー」は欠かせない存在となっている。これを設定するために「個体値」を31以外に設定することが多いが、改善に向かっている「きんのおうかん」ではこれらの障害になってしまう。
主にポケモンのレベルを50に設定する公式ルールでは、「個体値」は30と31で数値はほぼ変わらない。めざめるパワーを覚えさせる場合は、要所を30にする必要が出てくる。
即ち、ユーザー視点では「個体値」を31にするアイテムが出るのであれば、「個体値」を1下げるアイテムも欲しいということになる。ユーザー視点では、公式大会で長年見られる「めざめるパワー」と「厳選」における配慮が成されていないと感じる。当然、未公開情報もあるので今後どうなるかは分からないが、「個体値」を自由に、何度も設定できるアイテムではなかったので、今後期待できるかというと怪しい状況である。

2つ目の「すばやさ」については、ポケモンの行動順は「すばやさ」が早いポケモンから行動するため、なるべく早く行動したほうが強いとされる。しかし、「すばやさ」を下げるメリットも十分にあり、代表的なものでは「トリックルーム」「ギルガルド」「とんぼがえり」「ボルトチェンジ」である。
トリックルーム」はワザであり、『使用してから5ターンはお互いのポケモンは「すばやさ」が遅い順に行動する』という効果を持つ。
これにより、敢えて「すばやさ」の「個体値」を下げたポケモンを使用し、「トリックルーム」を使った後に、相手より早く行動して倒すという戦術が可能で、特にダブルバトルでは強力とされる。
トリックルーム」戦術を使用する際に、「すばやさ」の「個体値」を下げたいのに、「きんのおうかん」ではそれが不可能である。
ギルガルド」については、「特性」「バトルスイッチ」という固有の能力を持ち、攻撃する際に「シールドフォルム」から「ブレードフォルム」に変わり、守りの際は「キングシールド」で、「ブレードフォルム」から「シールドフォルム」へ姿を戻すという能力だ。
「ブレードフォルム」の際はステータスが攻撃寄り、逆に「シールドフォルム」の際は防御寄りになる性質があり、簡単に言うと「相手の攻撃を受けた後に攻撃をするほうが強い」という性質があるため、「すばやさ」の「個体値」を落とす調整が求められる。
「とんぼがえり」「ボルトチェンジ」については、相手にダメージを当てた後、控えにいるポケモンと交代をする「ワザ」である。
相手のポケモンに有利なポケモンが控えにいる場合でも、ただ交代するだけでは1ターンかかってしまい、相手の攻撃をもろに被弾してしまう。
そこで、「すばやさ」を下げることで、相手の攻撃を受けた後に「とんぼがえり」「ボルトチェンジ」を使用することで、無傷で交代したいポケモンを登場させることができる。

3つ目の、敢えて「個体値」を下げるという戦術については、サポート役を敢えて倒させることで他のポケモンを出して、サポートの恩恵があるうちに攻め立てる戦略や、場に残されて放置された時に困るから、という理由がある。

これらは言ってしまえばどれも自分で「個体値」の低いポケモンを「厳選」すればいい話だが、ポケモンを「厳選」する際には、「遺伝」システムを有効活用することがあり、ほとんどの場合では高いステータスに設定するために、「個体値」の高い「親ポケモン」を準備することが多いが、低い「個体値」のポケモンを厳選するとなると、専用の「親ポケモン」を準備する必要が出てくる。

これらのメリットがあるのにも関わらず、「自由に設定」ではなく「最大値」を優先させた理由にも、効果のインパクトやわかりやすさなどもあり、どちらかというと上位層よりかは中堅層にとって嬉しいアイテムになりそうである。攻略本に付属させる点は、「きんのおうかん」が消費アイテムという点で気になるものの、中堅層であれば攻略本の需要もあるため、商法としては悪くないと考える。

公式には明確に掲載されない、「個体値」などの情報を利用して対戦することが多い上位層にはあまり攻略本というものは目に留まらず、「ワザ」を確認するデータベース程度にしかなり得ないということも多い。

個体値」を最大まで上げるという「きんのおうかん」というアイテムは、対戦ユーザーにとって嬉しい結果をもたらしたように見えて、実際は進展がないことを示しているだけではなく、ユーザーの対戦面で行っていた戦術の工夫を汲み取らない、今後汲み取られる可能性がないという最悪の結果になったと言ってもおかしくない。

攻略本に付属する、といった目先の利益よりは、明確な改善案を出して長期的なスパンを見た顧客獲得を狙う方が、対戦環境はより良いものになっていくだろうと考えている。


2-8 改善案

これらの改善案としては、「使うポケモンの名前やパラメータを公式サイトで設定し、設定データを3DSにダウンロード、それらを用いて対戦を行う」という方法を提示したい。
これであれば対戦ユーザーはストレス無く限定配布のポケモンを使用でき、また、従来からある映画の前売り券に限定配布のポケモンを付属した商法などを邪魔しづらく、限定ポケモンを集めるといったコレクション要素も捨てなくて済む。
また、対戦準備による時間も省略出来るので、気軽に対戦したいユーザーにも嬉しい形になり、対戦に取り組んでいなかったユーザーや、以前離れてしまったユーザーに向けての普及も進みやすいだろう。

現状の問題点は払拭できるものの、公式側が頑なに内部ステータスの情報を公開しない現状では、公式サイトで「個体値」や「努力値」の設定という話にもなりにくいだろう。
公式側でこの意識改革がなされれば、元々あるコンテンツ力や積み上げてきた土台などを活かすことで、今後のポケモンは大きく進展すると、私は確信している。
また、ゲーム全体、ポケモンユーザー全体の悪い風潮を取り払うためには、公式側の適切なアプローチが必要不可欠である。

ポケモンの対戦面に関しては、企業の協賛を踏まえた大会の開催が求められている。
対戦面の魅力をポケモンの対戦を知らない人にも伝えるのには大会は必要不可欠で、コンテンツの認知度的にも有名な企業が大々的に行えばきっと進展があるはずだ。
賞金などのやりくりに対しては、対戦情報をまとめているサイトと連携した大会を開催した場合では、1ついい方法がある。
賞金をすぐに渡す形ではなくて、大会上位者に構築記事を書いて貰い、記事の原稿料に対してお金の支払いをする形を取る。賞金ではなく原稿料という形であれば、法律に触る問題が無く大会を開くことが出来て、参加者は賞金を手に入れ、サイト運営者は記事によってアクセスが増え、win-winの関係を取れる。
他のユーザーはサイトで記事を見ることが出来て、それによりユーザーが増えるという効果もあって非常に良い形態となる。原稿料についても、直接サイト運営者から支払われるのではなく、広告での収入として渡すことで法律の問題も回避できる。[4]


3 結論

結局、ユーザー側は公式側の対応待ちとなることになる。しかし、ユーザー側の盛り上げも対戦ゲームとしてやっていくコンテンツの発展には必要不可欠である。
公式側は、土台は少しずつ敷いているものの、ユーザーが離れてしまい手遅れにならないうちに明確な改善をするべきだと考えている。
また、e-Sportsという言葉も認知され始めている今、対戦競技への期待も少しずつ出てきている。ゲームに対する世間の風潮を変えることも必要で、これにも取り組むことで、最終的な結果が変わってくるだろう。


参考文献
[1]Wikipedia エレクトロニック・スポーツ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84

[2] [XY・ORAS]ポケモンレート競技人口シーズン推移
2015/6/10 
http://nouthuca.blogspot.jp/2015/06/xyoras.html

[3]gamer(日本で高額賞金のかけられたゲーム大会が開催されないのはどうしてなのか?法的観点から考えてみる) 2015/12/12
http://www.gamer.ne.jp/news/201512120002/

[4]twitter(@atmark680)
2016/11/28
https://twitter.com/atmark680/status/803149564647600132